2・経過報告

 

  モジャ公生活半世紀。

 遅く授かった乳児を抱え、ろくに眠れぬ日々だもの、新幹線で東京のおなじみの美容院まで気軽にちょっとでかけてくるなんて夢のまた夢でした。育児ストレスで、自分をかまってる余裕はナッシング。鏡の中に見える自分がいつもいつも「女捨ててます」状態で、すっかりヤサグレました。

 伸ばしてククッておくのに飽きると、発作的に自分でザク切り。気分転換と白髪対策に、時々、ホームセンターで売ってる毛染めでトッピなカラーリングを試みるも、たまにシゴト等で人前にでなきゃならない時は、もっぱらファッションウィッグだより。地毛がなまじ伸びていると、フルウィッグは(ぽんぽこにふくれた上にかぶるので)ウザイわ、暑いわ、汗になるわ。きまらないし。しょうがないので、前髪ウィッグをつけ、ターバン状態にスカーフを巻き、自毛はほとんど「全部隠す」のがベストかもしれないというトホホな状態が、かなり長く続きました。

 すっかりグレてアキラメかけていた2008年夏。

 たまたま時間がぽっかりあいた時、中軽井沢駅構内の観光案内コーナーで、地元フリーペーパー各種をゲット。そのうちのひとつ、FM軽井沢の発行している『77S.com ナナコム』(新しくできたレストランとか、イベントとか、いろいろ載ってて便利で楽しいっす!)をパラパラ眺めていたところ、お店紹介のページに、ソレハソレハ美しい栗色ロングヘアの写真。

 そこで大評判のなんとかいう覚えられない(←そうでした)コトをすると、「年齢、髪質関係なく、どなたでも、美しいツヤが!」といったおコトバ。

 いや、そのどなたには、あいにくだがワタシは含まれないだろう。なにせ究極のモジャ公だし……と思いつつ、超気になって、ページをおって。何日か、たまに開けては眺め、ふかーい溜め息をついておりました。

 「……いってみようかな……ダメもとで」

 多少、身辺的な変化もございました。

 乳児から幼児になりつつあったムスメがそろそろ保育園生活にも慣れてきてくれたこと。その保育園の送り迎えが平日は毎日で、すべて旦那だのみではあまりにハードで申し訳ないため、ワタシも長きペーパードライバー歴を解消、ピンクの軽を運転するようになったこと。

 その美容室は、どーせ送迎しなきゃならない保育園のとっても近所にあり、しかも、わたしの可愛いスバルの軽と同じ「ステラ」というお名前だったのでございます。つまり星。……運命?

 ついに重い腰をあげ、電話予約をして、おそるおそるでかけてみました。なにせ、ずーっとほったらかし。あまりのヒドさに絶句され、すみませんがアナタばかりは例外です、なにをやってもムダですと言われても、ぜったい泣かないようにしようと決意しながら、オハヨーゴザイマスとドアを開けたとたん……

 「……あら、咲ちゃんのママ!」

 受付におられたのは、ムスメの保育園ともだちのママさまでした。

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 美容室テスラの店長の星川さんはワタクシめの相談とイイワケをよーく聞いて、「大丈夫。よくなります!」とおっしゃってくださいました。「できれば、トリプルを三回、20日以内にくりかえして続けてみて欲しい」ちなみに20日以内あるいは40日以内に再施術する場合、割引をしてくれるのでした。

 プロにさわっていただくのも恥ずかしく申し訳ない状態が、いきなり、「ええっ?」というぐらい変わったのは写真の通り。アイロンでせっかくたんねんに可愛くクルクルにしていただいた毛先はアッという間にとれましたが、ストンつるんとひたすらスムース。M3Dはあまりに強力なので、トリプル施術後すぐなどはそうなるものらしいです。家でいいかげんに洗髪しても、放置自然乾燥しても、ぜんぜん平気。というか、むしろ3日めぐらいからのほうが、ほっといてもまとまるようになってきたというか。縮毛は保水力が弱く、乾くにしたがってふくれてくるものですが、圧倒的にカサがへりました。もうスチールタワシではありません。

 美容室ではオッケイでも、家ではキープできない! 時間と技をかけてブローすれば素敵でも、自分ではダメ! ……を、多々体験してきたわたしにとって、これは驚きでございました。

 しかも……メチャクチャ感じが良かった!

 建ってまだ一年にならなかった美容室はおしゃれでぜいたくなつくり、スタッフもみなさん若さあふれてて素敵、にぎやかで楽しい。たまにあるじゃないですか、立派なかたなのかもしれないけど、センセイが怖くて尊大で、スタッフのみなさまがピリピリ緊張してるとこ。厳しく鍛えてます! って雰囲気が強すぎるとこ。居合わせているこっちまで萎縮しちゃうみたいな。そういうところがぜんぜんなーい! かといって、あまりに下世話で俗ッポ過ぎるわけでもなく。

 お客が座る鏡は絶妙な距離感でお隣がいらしても気にならない。お庭も季節ごとにかわいくしてあるし、窓のすぐ外は道路なんですけど、幹線道路の脇道なので、そんなにクルマ通りが多くなく、静かで落ち着いてる。特に、感激したのは、ゴージャスなシャンプー台。ふかふかでおおきくてソファーみたいな座り心地で、いつまででも座っていたいぐらい。わたしはまだ入ったことありませんが、ぜいたくにも、ちょっと奥まって個室になっているコーナーもあります。

 土地柄(軽井沢)だけに、有名人のひとが来た時用なの? と訊ねると、どなたでも、ご希望があって開いてれば使います、退院直後であまり人にあいたくないというかたがいらしてくださったとき、ああコレをつくっといて良かった!って思いました、とのこと。おひとがらを忍ばせるではありませんか。

 トリプルだとさすがにやや時間がかかりますが、それでも、朝イチでいけばお昼には終わる。らくちんです。

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 かくてマジメに通うこと数回。おかげさまで、ほんとうに、そのつど、どんどんよくなりました! あまりに気にいったので、夫の母にもオススメしたぐらい。義母も「シャンプーが気持ちよかったぁ!」と感激していました。夏は軽井沢にいることが多いので、きっと今年もお世話になりますです。

 実は最初から「家でつかえるM3Dのシャンプーとコンディショナーもあります」とススメていただいたのですが、おっきなボトルの「エクストラダメージケア用」がドーンとあり、夫もムスメもそれは使わない(それぞれ別のを使う)ので、余ってしまう。もったいない精神で使いきってから、切り換えましたが……最初からサッサと変えちゃうべきでした! 正しいシャンプー方法も教わって守るようにしました。こうです。

 1・まず髪をお湯のみでよく洗う。ただザッと濡らすだけではなく、シャンプーなしで、しっかりと洗う。髪はこれでほとんどヨゴレが落ちてしまう。

 2・シャンプーを泡立てたら髪はこすらず、地肌をマッサージ、わりととっとときりあげる。

 3・よーくよーくよーく流す。1と3にかける時間は、それぞれ2の三倍程度をこころがけるようにした。コンディショナーをつけ、できるかぎり長いこと放置(理想的には15分以上)。最後にそれを流す。

 家でのシャンプー・コンディショナーも加えて、M3Dを重ねるごとに、見た目もさることながら、手でさわった時の感触があきらかに変わりました。スベスベなのです! 嬉しくて、ついしょっちゅうさわっちゃうぐらい。

 ふつう髪は熱に弱いですが、M3Dは適切な熱ならば、むしろを加えるほど良いそうで。お風呂あがりはこどものめんどうを見るのでせいいっぱいなせいもあり、はたまた、モジャ公当時、乾かすとするとすこぶる真剣に時間かけて芯まで乾かさないといけない。半端に乾かすとむしろふくれてしまってヒドイことになったので濡れたまま放置するクセがついていたんですけど、こころをいれかえ、短時間ザッと乾かしておくようにすると、自然とかたちになり、翌日もピカッときれいなままでいられるようになりました。

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 トリプル三回のノルマ(?)を達成したあと、いっぺんやってみたかったヘッドスパ(至福です〜!)をはさみ、ここまできたならそろそろと、M3Dの縮毛矯正をしていただきました。そんなにどまっすぐじゃなくていいけれど、ストレートっぽい感じにしたい、とご相談したところ、わたしのもともとの毛質からして、ストレートパーマより、やはり縮毛矯正にしておいたほうが望むスタイルに近づけるはず、ただし、施術の時にあまりテンションをかけすぎないようにして、ということでした。

 毛はネモトから伸びてくるもの。やがてはもう一度縮毛矯正もしなければならなくなるはずですが、全体にする必要はなく、伸びてきた部分だけ、クセをとらなければらない部分だけでオッケイではないかと店長のご判断。カラーリングも、全体の色をかえたくならないうちはネモトだけでオッケイで、髪全体にM3Dを重ねているわけです。

 何年も、ぜーんぜん美容院に行かなかったわたしが、ひと月に何度も通っているのは、なにしろ行ったらいっただけ結果になることと、行くのが楽しいからでございます!

 かたちはシンプルなワンレンです。なにしろ根がモジャ公なので、へたに凝ったカットをするより、それがいちばん無難ということもあり。前髪などを短く切ってしまうと、その部分にだけ、強くクセが出て、縮毛矯正をヒンパンにしなきゃならなくなる可能性がなくはないという店長さま判断。前髪パッツンスタイルにしたい時は、前髪ウィッグをつければいい。ちなみに、いまの髪色は、愛用のウィッグを持っていって、それにあわせていただいたので、わたしのツケかたがどヘタクソでないかぎり、違和感は最小なはずです。

 家事やシゴトをする時にはあいかわらずゴムできっちりククッてますが(だって、たらしておくと、どんどんスベッて落ちてきて顔にかかるんだもの!)ふだんは、たらしていてオッケイ。ほとんどぜんぜんまったく絡みません。こんがらからないので、ブラシでとくのも簡単だし、なんと、(なんと!)櫛でもとけます。

 出先でマトメたい時は、ゴムでもいいんですけど、アージュコーム でアップにしちゃえば、おしゃれキレイ。ラーメン食べる時にも傾いておさえてなくていい。パーティ、冠婚葬祭どんとこいです。コームを抜いて、頭を振ると、サッと髪が落ちてくる……あれができます! わたしでも! まぁビックリ。温泉にいっても、岩盤浴で汗かいても、ぜんぜん心配ありません。

 おかげさまで、ワタシ史上最高に良い、あつかいやすい状態をキープしております。いまは、ネモトにカラーリングの段差ができて気になる時に行く、あるいは、「特にきれいにしておきたいイベントとかのちょっと前に」行く、という感じ。だいたい一ヶ月〜40日ぐらい。なにしろ伸びるのがはやくなったようで、一ヶ月もすると、ネッコ部分の地毛がめだってくるので。でも、それでも、ぜんたいのカタチは扱いやすいままです。忙しい時は無理にいかなくても大丈夫なぐらい。トリプルではなく、ダブルだと時間も短く、お値段的にもさらにらくです。

 髪がきれいだと、毎日が楽しい♪ まるでCMコピーみたいですが、モジャ公、これはしみじみ実感。他の要因もあり、たまたま偶然なのかもしれませんが、美容院にちゃんと行くようになってから、わたしは急に痩せました。産後太りのままズブズブな体形だったのが、背脂が消え、ぜんたいにシマり、30パーセント越えだった体脂肪率が24パーセント前後まで落ちてきました。楽しいことをもっとしたくなり、フラダンスのお教室に通うことにしました。

 根がザッパクなわたしはノーメイクが基本で、日常品の買い出しや保育園送迎にはちゃんと身繕いする余裕がない。毎日かならず時間をかけてキレイにしているみなさまはエライ! でも、ナライゴトをはじめたら(さすがに同性の目もあることだし)ちょっとはカッコつけるでしょう。シゴトやパーティーの時にはこれまでにも気合をいれて「メタモルフォーゼ!」してましたが、それって、あまりにもめったにないですからねぇ。ふだんのなかに「ちょっとハレ」な日を持つというのは、心身の健康にも役立つのではないか。こどもにとっても、おかあさんがいつもいつも貧相にダラシなく、「もうどーでもいいや」なカッコをしているよりも良い影響があるのではないかと思います。 

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