パッチワーク いち

 

好きになったオトコのすまいを見たとたん、わたしは思いました。

「まぁっ、まるで『大草原の小さな家』みたい!」

ログハウス風で、暖炉とかあったりしたからねぇ。

たちまち沸き起こる妄想の数々。

ローラや、ローラママのような格好をして、何かをヌイヌイしてたら、すっごくハマるんじゃないかしら?

それまで暮らしていたのは、新宿と代々木の間。

ダイコン買いに京王デパートいっちゃう環境。

京王←→我が家の途中には、あのヨドバシカメラ本店があり、ちょっと寄り道する先が、西口高層ビル街。

わたしは夜行性で、おもに室内で、パソコンとかファミコンとかレーザーディスクとかと戯れていたんである。

それが、いきなり、大自然の中といえば聞こえはいいがイナカの過疎地の一軒家ですもん。

速達配達区域外で、新聞もこないし(当時)。

周囲はほとんど原野山林、2キロ歩くとようやく国道に出る……みたいな場所なんですからねー。

ここに住むようになったら、きっとヒマでヒマで退屈をもてあますに違いない。

なんか時間つぶしが必要だ……

かくてこどもの頃けっこう好きだった手芸を、もう一回やってみようと思いついたわけです。

そのいっこめがパッチワークどした。

 

これがいっこめ。

『ホビーラ・ホビーレ』のキットで作りました。

 

やっぱりクマが好き。

ところがしかしあにはからんや。

暮らしてみると山はヒマどころじゃない。

釣りに乗馬、薪割り、ガーデニング。

やりたいことだらけ、やらなきゃならないことだらけ。

でもって、なにしろ出前もこなきゃコンビニも近所にない、

レストランはいろいろあるけれど、わりと遠くにあるわけで、自家用車ででかけると誰かが飲めない

タクシーでいくと、すんごいお値段になってしまう。

だから、日々の食事は、ほぼ全面的に自分たちで作るしかない。

おまけに、同居をはじめたそのとたんのように、仔犬を拾ってしまったりした!

忙しいというかせわしないというか、とてもじゃないけど趣味に没頭している時間なんかなかった。

しばらく、手芸どころじゃありませんでした。

『大草原の……』風の優雅なセイカツを夢見たことなどスッテンテンと忘れ果ててました。

それでも十年もたつうちには

山の暮らしに慣れました。

サボる方法もわかってきた。

なぜだか突然やりたくなって

余り布を同じサイズに切ってちくちくやって

発作的に作り上げたのがコレです。

(ほんとはこの前に、波多野の祖父のところのお手伝いさんがやりかけて途中で投げ出していたやつをもらってやり終えたりしました)

ピーターラビットちゃんのパネルプリントの布を

どこかで見つけて、

可愛いなぁと思ってつい買ってしまっていたので

それを生かせるようなデザインを考えました。

 

思い出の布など、こうやって取っておく手もあります。

裏はこう。

やっぱりクマが好き。

 

デカくて、ふわふわで

ウタタネの時にもたれるのに良いです。

ちなみに中身は、我が家のアナアキストたちが

こわしてむしったフトンなどのワタを

もったいながって、拾ってとっておいたものです。