妊娠初期(〜5カ月)

さて産院に通いだし、産科医者による検診などをうけるようになるといよいよ「ああ、わたしもママなのね♪」という甘い気分が高まってくる。ふたりめ出産とかならともかく、はじめてだったりすると「これまではママじゃなかったから必要じゃなかったもの」が、なんだかだんだん無性に欲しくなったりする。セルフイメージを確認したがっちゃうんですかねぇ。マタニティ&ベビー用品のカタログ(妊婦雑誌の付録についてきたり、いわゆる通販各社に申し込むと無料でおくってくれたりする)を読むと、あれもこれも可愛く、あれもこれも欲しい。この時期「つい」買いそうなものについて研究する。

クーファン 赤ちゃんを寝かせり、寝かせたまま運んだりするための小型家具。籐籠に布をかぶせたもの、ジッパー開閉式の布にプラ板をいれて折り畳み可能にし、プレイマットやオムツ替えシートと兼用になっているものなど、種々さまざま。  ★ ふつう、赤ちゃんがいないウチには存在しないから「もうじきウチに赤ちゃんが!」気分を高めるにはナイス。新生児期に検診などで病院につれていく時、待合室がこんでいても、コレにいれておれば床置き可能。ただし(もちろん個体差はあるが)新生児〜生後半年ぐらいまで。すこし大きくなると、こんな狭いところではとてもじっとしていてくれなくなる。また、自家用自動車での赤ん坊の移動は新生児だろうと「チャイルドシート」着用が義務なので、これにいれて持ち運ぶのは法的にNG。タクシーではつかえる。バスや電車ではややジャマくさいが、おとながママ以外にもうひとりいれば、おとなナふたりの膝にこれを載せて対応することが可能。よっぽどすいてないと迷惑がられるかもしれないが。  ★  もともとの用途としてあまりつかえなくなっても、赤ちゃん用品やオモチャ(ことにぬいぐるみ)などをちょっと飾っておくのにはつかえないことはない。ベビーが女児の場合は彼女が気にいるかもしれない。お人形ゴッコなどにつかえる。

マザーバッグ 赤ちゃん連れでおでかけする際に必要なものを効率よく詰めこめるようになっているかばん。哺乳瓶が立てたままいれられるポケットがあったり、使用後のオムツ用の防水スペース(よくスポーツバッグで靴いれがそうなっているみたいに底の部分を横からあけるようになってたり)があったりする。断言する。せっかくママになったのだから「マザーバッグ」というものをイッコは記念に買ってみたい! というのでなければ不要。肩かけ可能なふつうのトートバッグに、ポーチなどを必要に応じてつめこむほうが便利。ちなみに赤ちゃん連れおでかけの荷物は新生児の時ほど「もしかしてアレもコレも急に必要になるかもしれない!」と思うため大量になりがちだが、新生児はよほどのことがないかぎり、そもそもあまり遠方まで長時間おでかけをしない。

マタニティウエア あまり先走って用意しないほうがいい。妊婦の腹まわりはどんどこふくらむし、何カ月ごろどういう体調になるか前もって確実にはわからない。春三月、夏服がいろいろ掲載された妊婦カタログを見てワンピースを買ったが、つわりがひどくてしばらく外出どころではなく、ようやく体調がととのうと秋で、ジージャンをはおって着ようとしたら入らなかった……などということが生じないとも限らない。  ★  また、妊婦の「センス」はふだんと違う。わたしは違った。なぜかその時とつぜんメチャクチャ好きになってしまったピンクのヒラヒラふりふりや花柄が、妊婦でなくなったとたん「なんでこんなのを着たかったのか。理解できん!」になってしまった。あなたもそうかもしれない。かといって、ただただガマンばかりしていてもストレスがたまる。「いま」ぜひとも欲しい、「いますぐ」着たい、着るチャンスがじっさいにあるもの、を優先するのがよいだろう。やってしまえば気がすむ。あとで写真を見てガクゼンとするとしても。

マタニティ下着  ふだんうんと小さいパンツ(下着)をつかっているひとは、へその隠れるデカパンをそのうちはく覚悟をしよう。いつから切り換えるかは各自の自由だが、腹のふくらみの途中にゴムがくると、ものすごく不快だ。おなかがでっぱりはじめるのは、つわりのひどい頃でもある。ゆったりしていて、おなかをひやさない下着にかえたほうがいいかもしれない。ただし、どうしても臨月までローライズをはく! というなら、それはそれでご本人の自由である。  ★  マタニティーガードルやサポーターは、必要なひととそうでないひとがいると思う。。たとえばブティック店員、銀行員など、きれいにしてひとまえに出る必要のある職場に勤めつづける場合は必要かもしれない。だが、ふだんからきついガードルをし慣れていて、お腹がでっぱったらでっぱる分にいちいち対応できるものがどうしても早急に欲しいと思うひと以外、やめておいたほうがいいと思う。なぜか。姿勢よく立ちつづけているか、きちんと背筋を伸ばして座っている以外の姿勢は、これらの矯正機具にそぐわない。適していない姿勢でこんなものを身につけていても、ただ苦しいだけだからだ。自分の腹筋の力ではささえていられないほど胎児がおおきくなったら、一日じゅう「よい姿勢」をしていることもかなり困難である。ひとまえに出る職場はそろそろ無理なのではないだろうか。ソファや安楽椅子にくつろいだり、ちょっと横になったりする時、ガードルやサポーター、ボディスーツ、ウェストニッパーのたぐいは、どうしたってズレる。肉にくいこむ。血流のさまたげになって、とてもよくない。まして眠る時ははずすしかない。  ★  もしも腹筋にどうしても自信がないなら、安定期をすぎたら、産科医に確認して許可をもらい、マタニティビクスをしにいくこと。腹筋きたえとくと、お産が軽いぞ。いやマジで。  ★  縁起ものである岩田帯は、妊娠五カ月の戌の日に巻くということになっている。信仰の問題なので好き好きで対処してほしい。ちなみにわたしは実家の母が代理で地元の八幡神社にいってもらってきてくれておくってくれたのをしかるべき日に巻くには巻いたが、巻き方がヘタで着心地がわるく、すぐにはずしてそれっきりであった。

マタニティクリーム 妊娠するとお腹がふくれる。急にふくれると、肉割れを起こし、みにくい「痕跡」を残す。これを予防するためのクリームが売っている。気にするひとはぬればいい。ちなみにこのようなクリームが必要になるタイミングは、ふくれた皮膚がカサカサしてきてカユいような気がした時、ということになっている。なにも妊娠線予防! と特にうたっているものではなく、ふつうのボディ用のマッサージクリームや、自分の好きなニオイのアロマオイルなどでもいいような気もするのだが。まったくなにも塗らない=かまわないよりは、とりあえずなんでもいいからなにかでマッサージする→体重増加をきちんとコントロールしようという気持ちがある、運動や食事についても多少は気をつけているだろう……という理屈である。  ★  いわずもがなだが、どんなに効能の高いクリームも、買って拝んでいるだけでは役に立たない。ちゃんと毎日、セッセと塗りつづけなければならない。途中で忘れたり飽きてやめそうなタイプのひとはあまり高いのを買うと後悔するかもしれない。ちなみに肉割れは腹にのみ起こるものではない。下腹付近はいちおう注意して「ストレッチマーク」なるこのギョーカイでもナンバーワンに売れ線な製品を塗りこんでいたわたし。ある日気づいたら、乳の底(自分ではなかなか見えない。カガミをみながらもちあげないと)のほうにスイカ模様が走っていた。乳もまた急にふくらんでしまったらしい。「ひー、どうしよう!」と旦那にいったら「もうそんなとこ、見せたらイヤがるような誰にも見せる必要ないんだから、べつにいいんじゃない」と言われた。たしかに。

妊婦茶 胎児と妊婦は臍帯でつながっている。妊婦の血液が、ほんのちょびっとのフィルターをとおしてそのまま胎児にいく。ゆえに、禁酒・禁煙が勧められるわけである。コーヒーや日本茶などのカフェイン系、激辛食品などの刺激物、カロリーの高すぎるもの甘いものなども、なるべくよせ、といわれたりする。まぁ、酒タバコ以外は、過剰でないならそんなに神経質になる必要はない。極端にそればっかりとってなければ大丈夫である。とはいえ、古来妊婦によいとされるハーブ茶はたしかにある。ブリスティアさんのとか、ピジョンのマタニティラインとか。そこらのスーパーでもたんぽぽコーヒーがあったりする。からだが必要としているものは美味しく感じる。また妊婦は味覚か敏感になるし、ふだんとはちょっとかわったりもする。飲んだことのないものを飲んでみるのもいいかもしれない。

サプリメント 葉酸、鉄剤、カルシウム、マルチビタミンあたりが人気。自分のからだと口にするもの「のみ」が胎児をつくっていくのだと思うと、なにかうっかり不足しちゃったらたいへんだ! という気持ちにもなる。そこにつけこむ商売をやっているように見受けられるところも多々ある。心配性のひとはつい心配しすぎるかもしれない。だが、産院にちゃんと検診にいっていれば専門のお医者が診察しているわけで、血液検査なども必要な時期におこなってくれているはずである。ほんとうに「ヤバイ」場合には、かならず、注意されるし、「これこれを摂取しろ」とすすめられるし、もしかすると薬品を処方される。それにしたがえばよい。 シロウト考えでへんなものをとり過ぎないように。 クスリには副作用があり、「飲み合わせ」によって、思いがけなく悪い作用をするものもなくはない。 ★ サプリやクスリでなんとかしようとするより、やはり、日頃から、ちゃんとした食事をこころがけるにこしたことはないだろう。野菜を多めにカロリー低めに、バランスよくなんでも食べよう。鉄に関しては、よほど病的な貧血体質以外、日常の喫茶を電気ポットのお湯でするのをやめ、正統な南部鉄瓶をつかえばよろしい。電気いれっぱなしのポットにはトリハロメタンという毒も発生するしな。南部鉄瓶の産地がわたしの故郷盛岡であることは隠さないが、ほんとにいいっすよ。ただし、お茶などの成分によっては、鉄と結びついてへんな味になってしまったりするものもなくはないことをいちおうかいておく。

イージーファイバー ↑のように考えるわたしが大愛用しつづけているサプリのひとつがコレ。ふだんから便秘がちなひとは妊娠するとなおひどくなることがあるらしい。おつかいになってみてはどうか。ちなみにわたしは出産の時に余計な裂け目がはいってしまい、万が一にも便秘になったら地獄のくるしみだと思ったので産院の(つまり自分でつくらない)食事にせっせとコレを足しておいた。たったの一日も便秘せずにすんだ。