おたよりストック場・1 | |
いただいたメールのうち、少し時間のたったもの、話が長くなってしまったものなどをこちらに展示します。 |
6月23日 ネイザーさまからのおたより
生まれてはじめてファンレターというものを出してみます。 初めて小説ドラクエ6を見たのが、7年前でした。 くみ>おたよりありがとうございます。コバルト→MOTHER、ドラクエと、お若いかたに読んでいただく小説を書いてきたので、「生まれてはじめて」のかたから応援のお便りをもらった経験は少なくないです。おかげさまです。「はじめて」のかたを特にヒイキはしませんが、「はじめて」の経験がろくでもないと申し訳ない! その昔のアカセンとかで筆おろし担当だったベテラン娼婦さんって、こんな気分かなぁ??? とってもとっても嬉しいおコトバをありがとうございますです。しかし、せっかく読んでほしがってくださるかたのある小説が、某大規模古書店にしかない、っつーのは、ほんまに困ったもんです……しくしく(くみくり、くみくらの細かい字のところ参照)。中島さん(栗本薫先生)のおとなりなの? ひぇぇぇぇ。質量ともにぜったいにかなわないですな。京極さんも近所だしなぁ。やべぇ。オススメかと思ってお返事したのは『ソーントーンシリーズ三冊』(ファンタジーがお好きそうなので)でしたが、ネイザーさまはすでにそれもおもちでいらっしゃいました。ありがとうございます。
6月22日 こくびゃくさまからのおたよりより こんにちは、はじめまして。 くみ>うわー。そんなに読んでいただいて、作者も本も冥利につきますです。自分でいうたらなんですが5はあーみえて苦労してまんねんで。スミちゃんたちが出てきてからが特に。ひとつの場面におーぜー登場するから、なかなかハナシが進まない。ページ数ばっかりくってしまう。だから、奴隷になったとことかはもうザックリはぶいたし。双子がさらわれるとこなんかは、実は書き上げてすぐに見てもらった時に、これは小学生のよい子などにはあまりにシビアすぎるのではないか、もうちっと抑え目の演出にしたほうがいいのではないかと、と担当に心配されたんです。けど、あまっちょろくはしたくなかったんでおしきってしまいました。それだけに、いちばんおおぜいになった時に全員で必死にやる戦闘シーンがいちばん思い出深いです。 うだつがウンヌンなんていわないでぇ! こんな優しいおコトバを見ず知らずのワタクシメなどにわざわざかけてくださるあなたはステキなひとです。間違いなく。ほんとに。 あっ、それと「久美先生」はどうかどうかやめてやってください。すんごくハズカシーので。くみさんとかくみくんとかでいいです。よろしく。 くみ>うわー。ますます、ありがたいです。そんなふうに読んでいただけるなんて。読んで気持ちよく泣けると、気持ちいいもんねぇ(コレがいま褒められたやつの日本語かよ)わたしもよくなにか読んだり観たりしては号泣します。高橋しんさんの『最終兵器彼女』の最後のほうなんて、呼吸困難になるぐらい泣きまくりましたねぇ。……というか、まざー2。アレも小説版の勝手な結末には、賛否両論ありましたねぇ。ポーキーをどうするのか、わたし自身もすごく迷ったんですけどね。
くみ>すごいかたと比較していただいてしまいましたが……『賢者の贈り物』好きです。それで?WEBダ・ヴィンチで「あのころの宝物」というテーマをいただいたときに、『賢者のオークション』というのを書きました。O・ヘンリさまのあの作品ほどのすんばらしい作品にはまるでなっておりませんですが……ヒトのこころのつながりに関して、書くことができているんだったらこんなに嬉しいことはありません。コミュニケーションがいまいちうまくいかない問題というのは、エラソーにいえば、たぶんわたしの根底的なテーマのひとつだと思います。おかみきも、青春ラブコメというよりは、華雅と森戸南というふたつの(互いに相容れない)文化の間で、どっちにも染まりきれずに、ひとり浮いちゃう自分をいったいどうしたらいいのか延々と悩む話をかいてたつもりだったりしましたです。われながら青臭いけど、そーゆーのを書いてると一番ハマるような気もします。またそういうのをいつか書こうなぁ! 6月21日〜24日 藤田有貴子さまのおたよりより抜粋 初めまして。 >メーリングリストはどうぞ、ぜひぜひなさってくださいませ。実現したらお知らせいただければ、久美蔵で告知させていただきますです。
それにしても、葉山から三番町は……遠いでしょうねぇ。おつかれさまでした。
6月9日 かのんのママさまのおたより かのんのママと申します。 嬉しいお便りをありがとうございます。ええ、ええ。きっとそういうかたがいてくださるはずだ! というのは平成版を作る時の目論見のひとつでございました。見つけていただいてよかった。旦那さまとお子さまの犠牲?をかえりみずご購入くださったので、ちゃんとお気に召していただいて良かった良かった。それにしても、いまも全巻ちゃんと揃えておいてくれるなんて偉い本屋さんですっ! ……それにしても(アゲイン)おかみきといい、ドラクエといい……過去の栄光? にずいぶん助けてもらっているワタシ。そろそろ、次の傑作をかかないとなぁ。(くみ)
6月4日 浦河セイ太さまのおたより こんにちは。とても楽しく内容を拝見させていただきました。 わあん。泣けちゃうようなお便りをありがとうございました。そんなふうに読んでいただけるとほんとうに作家冥利につきます。10年前のこともさることながら、かさばるだろうハードカバーをいまも大切にしてくださって、時に読み返してくださっておまけに「絶対に手放すことはない」なんて……ううっ殺し文句だなぁ! 文章を書くことにご興味とおっしゃいますが、浦河さまには才能を感じます。ヨイショしてもらったからじゃなくて。読んだ人間がマジ感動しちゃう文章って、簡単なようで、けっこう難しいもんがあるんですよたぶん。とにかくほんとに嬉しい。どうもありがとうございました。DQシリーズ以上にお気に召していただけるものがあるのかどうか、やや心配ですが、なにしろ著作数だけはやたらに多いです、中には好きになっていただけるものもあるかもしれません。あまりご散財をおかけしては申し訳ないのですが、ご無理のない範囲でいろいろ探してみてやってください。どうぞよろしくおねがいいたします。おともだちのみなさまにもよろしく。(くみ)
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2003年5月のお手紙より
5月23日
山田庸晴さま
ホームページ拝見させていただきました。 本当にたくさんの動物たちがいるんですね。
ありがとうございます! そういえばDQXは「仲間」になるモンスターの出始めでしたね。スミスとかスラリンとか、ほとんど「大切ななかよし動物」の気分で書いたのを懐かしく思い出します。ちなみにe-NEVELSには、ほとんどペットみたいな冷蔵庫を書いております。不定期投稿でなかなか増えませんが……。(くみ)
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5月26日 CGサイトのsunnyさま 訪れた人への注意書きみたいなページがおもしろかったです。 ありがとうございます……。あそこに関しては同業の何人かからも「よくぞ言うた」とおっしゃっていただいております。セツジツなんす。ほんとに。みなさんよろしく。(くみ) |
オタクのことについて
2003年6月3日 瑞龍瑞希さま SSジェネレーション、とかいうお話が、巷で、一時、はやりましたが、
えっ、オタクとヲタクは違うんですか(笑)? あくまでわたしの解釈ですが、わたしは自分のことオタクだと思う。この場合、オタクっていうコトバで言っているつもりなのは、この肉体を伴わざるをえない限定的な自分や、有限で偶発的な現実、日々のしがらみなどなどを、時にいったん横において、それらから自由な、理性的精神的な世界に遊ぶことができる、それを楽しむことができる種類の人間ということ。ようするに「一期は夢よ、ただ狂へ」。 対照が虚構の架空のものがたりの世界であろうと、学術的理論世界であろうと、身近な現実以上にそっちに夢中になってそっちを愛してしまっている場合、ともするとフツーの社会的価値観からは逸脱するわけで、あくまでそっちを重視する(ていうかそっちしかわかんない)ひとたちからは「へん」に見えたり「幼く」みえたりするかもしれないけど……。 基本的にはオタクって「思考」のひとだと思う。実際に目に見えるものや手でさわれるもの、いまそこにあるもの以上に、想定することのできるもの、あってもおかしくないもの、もしかしたらありうるかもしれないもの……を、リアルにビビッドに実感できるというか。それって世界を閉ざすことじゃなくて、むしろどこまでも広げることだよね。性別とか年齢とか人種とか時代とかなにもかも超えて、同じように思考する誰とでも密度濃くわかりあえるってことだよね? 違う? それってあまりに理想的すぎ? その点、既成の何かを安易にへたくそにコピーするだけで満足できちゃうひとっていうのは、まったくオタクじゃないよ(わたしの用語では)。そんなの搾取だし、縮小再生産だし。脳味噌の働きとしてはごくごく低い段階だもの。そんなの気持よくない(笑)。もっというと、剽窃や二番煎じは、作品や作者に対しての敬意や礼儀や思いやりに欠けてるから良くない。自分の思考が大切ならば、他人のそれも尊敬できるはず。憧れや心酔から生まれたパロディやパスティーシュはアリでしょう。ようは、なにかをイタダキするなら、同じものを同じぐらいあるいはひょっとしてそのひと以上にもっと愛する別のひとから見ても、愉しいもの、見事なもの、せめて微笑ましいものになっていなきゃってことじゃない? (くみ) 6月4日 くみさま。 書いてしまった以上、一応、ご説明いたします。 オタクに関しては、「差別用語なのかどうなのか」というところで、 e-LOGINとか、テック-ジャイアンとか、
うーんなるほど。そうか。なんか同じコトバで全然違うものを指してしまったみたいですね。 たとえばなんですけど、フランス人のひとが日本の戦隊モノを見てすっかり好きになって、フランス戦隊なんとかみたいなのを自分たちでも作っちゃった、とか聞くと、「ああ、オタクは世界を繋ぐなぁ」ってわたしは嬉しくなっちゃうんですけど。それとこないだの雑誌CREA(映画特集)で、21世紀になってから一番よかった映画はなんですかみたいな質問にディカプリオとトム・ハンクスとスピルバーグ監督が『千と千尋の神かくし』をあげてたのね。もとから好きだったお三人だったのでますます好きになってしまったりした。テレビのニュースとか特集番組とかで、全然知らないよその国の学者さんとか出てきてなんだかんだしゃべっているのを聞いているうちに「ああ、このヒトもオタクだなぁ」って思って、もしかしてどっかで偶然あえて知り合いになったら、すごい簡単にともだちになれそうだなぁと思ったりする。 アキハバラなんですけど……すみませんわたし好きです。ラジオ会館とか。いまではフィギュア会館なのに、ちょっと前はパソコン会館だったのに、それでもずっと変わらずにラジオ会館という名前のあそこが。つまり昔はオタの最先端は鉱石ラジオを自作するひとで、そのあと、パソを自作するひとになって、最近ではお人形を自作するひと……と時代は変遷してもオタはそれぞれの時時にいたのだなぁ、みたいな。なんか町に歴史と伝統がある感じが好き。 こないだあそこにいった時、某クスのお人形売り場で、ひとりの女性が、一体のお人形をディスプレイしておられたんです。わたしがその店に入ってから出るまで、たぶん30分ぐらい、ずーっと、すごい真剣に、同じひとつのことをしていた。熱中していた。それはわたしの知っているとある活け花のすごいひとが活け花してるのにそっくりだった。シロウトのわたしなんかは、花なんてテキトーな花瓶にザザッとつっこんでそれで終わりじゃないですか。活け花って違うのね。そのかたは延々と一時間ぐらいかけてた。製作している間中、そこらいったいにアーティストがかもしだす緊張感がただよっていて、近づいたりうかつに声をかけたりできないほどだった。そして、できたかたちは、ほんとうに、素晴らしかった。同じものを使っても、すごいことができるひとと、そーでないのがいるのよね。クリエイトしなくてもアートはできるよ。たったいっこのお人形を可愛く座らせてあげるのに、微妙なポーズとか、ひょっとするとどんな小物を持たせるかとかに、某クスの彼女は精魂かたむけてた。その姿勢が美しかった。そういうひとがわたしはすごい好きだと思うし、そういうひとに仕事場や生き甲斐を持たせてあげられるアキハバラやいまの時代はけっこう悪くないんじゃないかなぁと思う。 オタク=ヘンタイで思い出した話をひとつ披露しましょう(さんざんあちこちで言ってるけど)。 もうずいぶん前のことで、誰に聞いたかも忘れてしまったので細部にはわたしの演出が入ってますが、まごうかたなく実話です あるひと(小説業界周辺のどなただったか残念ながら覚えていない)がみんなの集まってるたしかシモキタの某所にやってきて「いやーまいったまいった」って言ったんですね。彼がその日、ファストフード店で食後の読書をしていたところ、そばの席に女子高生か女子大生か忘れましたが、4人組ぐらいのオンナの子たちがきた。大声でしゃべっているので会話が聞こえてしまった。 「○○ちゃん、ナントカ君とつきあいだしたんだって。どう?」 「んー……それがさぁ。悪いひとじゃないんだけどさぁ。彼って、本とか読むのよねぇ……(溜息)」 「ええっ! マジ?」(驚愕する友人たち) 「うそー、気味わるー」 「やっだぁーしんじらんなーい」 「でしょー。もう、ダメかも。なんか全然あわない、つきあってらんないって感じでぇ」 思わず顔を赤らめ、まさに本を読んでいるところの自分が彼女たちにみつからないように小さくなりながら、知人はさらにキキミミをたてました。いったいその彼ってのがどんな賢そうな本を読んでいるのか知りたかったので。 「なんて本」 「うんとねー、タイトルわかんない。赤川次郎とかってひとの本だった」 同じ時代に生きる同世代でも、これだけ価値観?が違う。天下の赤川先生のご著作を読んでいてすら差別(敬遠?)の対象にしてしまうかたがたにしてみれば、そりゃあマイナーな作品にやたら詳しい雑誌なんてーのは理解不能でしょう。わかんないから気味悪く思える。知りたくないから拒絶する。でも一方、日本アニメを理解したいあまり日本語を勉強しはじめるフランス人とかもちゃんといるわけです。誰とでも仲良くするのはむつかしいことですが、よーくさがせばどっかにきっとアナタやワタシとほんとうに心から仲良しになれるおともだちがいくらでも隠れてる、出会えるチャンスはいくらでもあるよ、ってことじゃないかなぁ。そんなにオプティミスティックにならなくてもいいとわたしは信じたいです。 でなきゃー、小説なんて書いてらんねーってばよ。マジ。(くみ)
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