三つの質問

 

いきなりですが、三つの質問をします。

誰も、あなたを監視していませんし、どんな答えをしたからといって、咎めたり責めたりはいたしませんから、見栄をはったり、意図的に嘘をついたり、楽観でごまかしたりはせず、あくまで正直に、そして謙虚に、真剣に、お考えになってみてください。

さあ、いきますよ。

 

 

あなたは元気で健康ですか? 

生理は順調ですか。婦人科系疾患、慢性疾患はありませんか。毎年健康診断をうけていますか? 極端に疲労がたまっていたり、運動不足だったりしませんか?

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彼とは長い?

そのひとの子どもを作ろうとしている相手のかたと、おつきあいをはじめてどのぐらいになりますか? 婚姻届を出した日や、いっしょに暮らしはじめた日ではなく、そもそも赤ちゃんができるような関係になった最初の年月日から、考えてみてください。何カ月単位? それとも、何年? ……けっこう長くはありませんか?

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余裕あります?

 

時間的、精神的、そして経済的に、

じゅうぶん余裕がある生活をしていますか。

 

人間関係でがんじがらめになっていたり、いつもノルマや責任が重くのしかかって追い詰められているような、ストレスの高い生活をしていませんか? 

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もし、この3つのうちひとつでも「そういえば……」「ちょっと問題あるかも」と思い当たったとしたら、あなたには(すくなくともいますぐには)、いわゆる専門医による高度な不妊治療は必要ないかもしれません。  

あくまでもケースバイケースで、百人いれば百通りあるはでなので、ここであまり早合点や自己判断をしないで欲しいのですが、次のことをいちおう、頭にいれておいてください。

なまじいきなり高度に専門的な治療をすればするほど、のぞみの妊娠から遠ざかってしまう場合もなくはない! 

 

 

人間だれしも、待ちぼうけさせられるのはいやですし、待たされると不愉快になります。欲しいものは、いったん欲しくなったら、もう我慢できない。忙しい現代人は、なんでもすぐに結果をもとめます。最小の努力で、最短距離で到達したいのです。

「赤ちゃんが欲しいな」「なかなかできないな」と思ったそのとたん、待ったなしな気持ちになりませんでしたか? まず、情報をさがしませんでしたか? いまどきの不妊治療はどうなっているのか、高度医療はなにがどこまでできるようになっているのか、近所に適当な病院やクリニックがあるかどうか、そこの評判はどうか。

 上の3つの質問の項目のようなことは、少しも考えずに。

 

ほんとうにあったちょっと笑えちゃう話

ある日の昼下がり、とある中医学薬局に、ひとりの女のひとが飛び込んできました。階段をかけあがってでもきたのか、まだすこし息をきらしながら、椅子にすわり、真剣な顔つきで、いいます。「わたし、不妊症だと思うんです。相談にのってください」

話を聞いてみると……

 

1・半年ほど前に結婚したが、少し前まではフルタイム勤務をしていた。

2・ようやくシゴトが一段落ついたので、パートにきりかえた。

3・これでもういつ妊娠してもだいじょうぶ。

4・さっそく避妊するのをやめて、3カ月もたったが、ちっとも妊娠しない。

5・もうすぐ30歳、できるだけはやくこどもが欲しいから、治療してくれ。

 

「……このひとは、不妊っていうような状態じゃあないんじゃあ……」

 

薬剤師は、むしろ彼女の「コレと思ったら他がみえなくなる感じ」や「なんでも自分の思い通りにならないとイライラしてしまう性質」などを緩和できるような処方をし、しばらくは、あまりあれこれ考えず、のんびりゆったりすごすよう、アドバイスしました。

すると、一カ月するかしないかのうちに「おかげさまで、妊娠しました!」と喜びの声が……!

 

☆  ☆  ☆

たった3カ月でも、期待しているのにカラブリしてしまうと、ガッカリで、悪いほうへ悪いほうへ考えてしまうのかもしれませんね。

 

 

 

不妊治療プログラムというものは

「それを必要としているひと」のために作られています。

 

一般的な流れは、各種検査と平行してタイミング指導→排卵誘発剤投与→人工受精→対外受精→顕微受精……といった感じですが……

 

     あなたはどうでしょう。

検査の結果、なにか不妊の理由、機序がみつかりましたか?

もしや

原因不明ではありませんでしたか?

⇒西洋医学と東洋医学

 

原因がはっきりしているなら、その原因をとりのぞくなり、原因部分を治療するなりすればいいことになります。十分な治療成果があがれば、(残念ながら治療不可能ということも数のうちにはありえますが)とうぜん、妊娠成功率・確率があがります。

しかし、原因がはっきりしないとすると、「どこまでやるか」の限度も、きまらないことになります。

なにげなく踏み出した最初の一歩が、あなたを、はじめに思っていたよりずっと遠くまでつれていってしまってはいないでしょうか? ほんとうに、そこまで、したかったのですか?

あなたがストップしなければ、いったんはじまった治療はやみません。しかも、どんどんエスカレートします。その間じゅう、数値やデータに一喜一憂したり、こんどこそうまくいきますようにと薄氷を踏むような思いを耐えたりしなければなりません。すべて、「本来不要なひと」には、百害あって一利なしなことがらばかりなのに! この精神的重圧が、あなたを……どこかの政治家のセリフではありませんが、ひとりの女性から、「生む機械」に変えてしまってはいないでしょうか。みずみずしい感受性や、こころの揺れ、あなたというかけがえのない個人を、ただ、妊娠することに適合する肉体になるように、押し殺そうとしてはいませんか?

 

もちろん、ほんとうに高度な医学がなければ妊娠できない状態になっている場合もあります!!!

たとえば、卵管が詰まっている、子宮に奇形がある、など。これらは、きちんと検査をすればすぐにわかります。逆に、こういった問題がはっきりすることで、かえって助かる、と言えるかもしれません。原因が改善できるなら妊娠する確率は圧倒的にあがるはずだし、残念ながらほんとうにどうしようもない場合、「残念ながらぜったいに無理」な場合は、そう断言されるので、ありえないことを夢みて苦しまずにすみます。

ですから、もちろん、治療のすべてを否定しているわけではありません!!!(そこは勘違いしないでください!)

ただ、「誰にとっても、いわゆる高度な不妊専門外来の現代医療こそが、解決に至る近道で王道だ」というふうに短絡してしまってはいけないのではないか、という点に、注意を喚起しようとしています。とくに、原因がわからない場合。自分が、実際のところどういう状態なのかについて、落ち着いて冷静に客観的に判断をする必要があります。

 

なんだかダイエットに似てませんか

……痛い注射、ホルモン治療の副作用、莫大な費用、診察や順番待ちにかかる時間、排卵のタイミングにあわせてセックスするために生活や気持ちをいつも犠牲にすることなどなど……苦難はどんどんふくれあがり、より難しく、より重荷に、なっていきます。

「この先のどこかにとても嬉しいことがあるはずだから」そう信じるからこそ、なんとか耐えているようなことが、たくさんある。

言い換えれば、これらはみな「ものすごいストレス」です。

もしや……その「絶え間なく続く強烈なストレス」こそが、あなたの心身の健康を……そして、なにより、健康な受精卵の着床を! ……さまたげてはいないでしょうか?

 

だって、考えてみてください。骨折もしていないところにギブスをまきつづけていたら、どうなります? どんなに良いクスリでも、必要もないのに毎日大量にのみつづけていたら、どうなります? 

 

 

「まさか!」

あなたは思ったかもしれない。

「病院が、患者にとって害になることをワザとするわけがないじゃない。ひととおりの検査をしてみて、ちゃんとそのひとにあった治療をしてくれるわよ!」

 

……ほんとうにそうならいいんですけど……

 

ほんとうに素晴らしい病院もたくさんありますし、名医もおおぜいおられます!でも、そうでないところにあたってしまうかもしれない。相性もあります。

お医者さまも人間です。カミサマではありません。

手におえないような難しい患者は、いじりまわさず、すぐ、より専門家のいる大病院などに紹介することができるか? 他の不妊治療専門医をライバル視して、出産数などを競争したりしていないか?  確実に実績をあげるために、難しい治療をしなくてもやがて妊娠するはずの人間までも患者にしてはいないか? 治療対象者を、自分のサクセスや達成感のためのモルモットのように感じていないか? 患者の幸福をこそ第一に考え、ストレスやプレッシャーを感じずに気持ちよく治療をつづけられるように最善の努力をつづけているか。なかなか結果がでない時、より過酷な治療、高度な治療へとつきすすむばかりではなく、患者によく説明して同意を得ているか。いったん立ち止まってみたり、「ちょっと治療をやすむこと」も提案できるか。とっくに妊娠していいはずなのになかなか妊娠できない患者を、医者としての自分を敗北させる憎らしい存在であると捉え、敵視したり、怒りをぶつけたりはしていないか。

さまざまな疑問や不満を感じるようになっても、いったん「治療をはじめて」しまうと、やめるのはたいへん。結婚するより離婚がたいへんなのといっしょです。 ⇒治療はまるでマラソンレース

 

だからこそ!

“3つの質問”に「あちゃー」と思ったあなた。

どうか、まず、それらを改善する方法を考えてみてください。

病院に行くかどうか、このまま行き続けるかどうか、

決めるのはそれからでも、きっと、遅くはありません。